26 江戸あねさま・大奥スタイル<片はずし・尾長・高島田>(東京)


正統派の江戸あねさま
やはり江戸あねさまは、姉様界の頂点に立つ完成度
江戸あねさまの特徴は何といっても、身分・職業・年齢などで細かく別れていた江戸ファッションを忠実に表現していることです
芸者か町娘か分からないようなあねさまは、江戸あねさまとは言えないというのが心情です

大奥は、本丸御殿の奥女中たち

↓上臈御年寄(じょうろうおとしより)<片はずし>
大奥女中の筆頭で最高位
御台所(みだいどころ・将軍の制裁)お付きの相談役

片はずしという名称は、こうがいに巻き付けた髪が左右対称でなく片方はずれて見えることから付いた呼び方。

最高位という地位に相応しい落ち着きと品格を兼ね備えた、ベテランというイメージ
大奥においてさしたる実権はないが、御台所からは絶大な信頼を受けていた

 

控えめで落ち着いた色合いのコーディネート。自分はあくまでも御台所の支え役で物腰もやわらかめ。
金をふんだんに使った格を感じさせる上質な組み合わせ。

   

↓御年寄(おとしより・大奥総取締役)<片はずし>
春日局などに代表される、大奥の最高権力者。
大奥の行事や日常全てを取り仕切り、将軍にも意見するなど、幕府にとって大きな影響力を持っていた。

松の着物に鶴の帯で、何げに自分の権威を自己主張。
大奥きっての実力者で奥女中からは冷酷無慈悲と噂され、恐れられている存在。

    

↓御台所(みだいどころ)<尾長・根結いの垂髪>
将軍の正妻。正室。

髪型は尾長、正室だけに許される垂れ髪スタイル。
髷を結わずに後ろに長く垂らし、筒状の布で巻いたり紐で飾るなどの尾長飾りをつけたりした。
豪華な金銀のかんざしや、花こうがい、角のような大きな丈長などで格調高くしていた

将軍の跡継ぎである男子を産めない場合も多く、その場合は側室を立てられ、正室はお飾り的な立場とされた。
側室が男子を産むと権力を取って代わられたり、お世継ぎ問題に巻き込まれたりする運命。

 

大奥で最も豪華であでやかな衣装を身につけ、振る舞いは優雅。
しかし、妻とは名ばかりの実態に失望し、孤独な引きこもりの生活に陥ったりしがちである

 

↓お目見え以下<高島田>
将軍には謁見できない下級の女中で、大奥の炊事や、警備、水汲みや掃除などあらゆる雑用を行った。
旗本の娘など行儀見習いがてらの奉公の出発点で、町民などの出身者も多かった。

     

お決まりの矢羽根模様に黒のナナメ帯、よくある奥女中の制服スタイル。
もとは警備のため刀を差していたので、帯が刀の邪魔にならないよう、左上の立て矢結びになったのだそう。
大奥にいる全ての女性が片はずしを結っていたわけではなく、上級の者以外は高島田や勝山などを結っていた。

誰でも思い浮かべる「腰元」というイメージですね
腰元というのは、もとは裕福な商家や遊女宿などで主人の雑用をする下働きの女性を指した言葉で、
奥女中=腰元というイメージは、芝居やメディアの影響が大きいのだそうです

以上、あくまでも個人的な大奥のイメージで制作してみました
次回もお楽しみに!

参考
※マコー社 武藤江戸あねさま
※ 「日本結髪278種」廣瀬辰五郎著

2020.08.10

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