31 逗子の姉様(神奈川県)

引き続き神奈川の姉様です

神奈川の姉様はほとんど記録がなく、資料もあまりありません
神奈川で唯一の姉様の資料は、横浜と逗子のみ
詳しいことは分からないようです
見本にしたもの
↓日本京人形研究会『姉様』より神奈川・逗子の姉様

  

誰かが手作りしたような姉様ですが、よく見るとバランスがとれた姉様です

白い紙で皺めた紙を、あとから黒く着色しています
袖付きで、体の前で折りたたまれた格好がおしとやかな印象です
後ろ髷、後ろ帯がどうなっているのか分からないので、髷の形、帯の形・長さは想像して作りました
顔は手で描いたのでしょうか、サインペンで描き込んだような感じです
ひたいを富士びたいに描き、黒く塗りつぶしています
千代紙がなかったので手近な無地の紙で着物を作り、桜の花を切り抜いて袖にあしらい柄のように見せています
桜の花はかなり丁寧に切り抜いているのが分かります
着物は無地でも、折り返して開いた裾裏に柄が付いていて、半襟も柄というのがお洒落です
柄の千代紙が少ししかなくて、着物にするには足らなかったからかも知れませんが、上手いアイデアです

この姉様の形は、いきなり思いつくものではありません
おそらく何かの見本があったと思います

↓良く似た絵を見つけました(古い郷土玩具の彩色絵本※詳細不明)
恐らくこんな見本を見ながら見よう見まねで作ったのではないでしょうか

無地の紙はそのままに、私も桜を切り抜いて貼ってみました
色違いの仲良しも、千代紙を節約して作ったとしたら、きっとこんなふうにして工夫したのではないかなぁ

どことなく上品で優しげな姉様です
作った人の気持ちや、土地柄、歴史や背景などを考えながら作るのも楽しいものです
世の中には、まだまだ埋もれている姉様があるはずです
詳しいことはもう誰も知らない、忘れられてしまった存在の、ボロボロの姉様かも知れません
見つけたら私がもう一度、それを真似して新しく作って記録したいと思います

2020.10.15

 

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