35 おかんじゃけ(静岡県)
静岡姉様の締めくくりは、「おかんじゃけ」が登場
竹で作ったこの素朴な姉様、何と魅力的なことでしょう
夢中になります!
おかんじゃけって何?初めて耳にする方も多いのではないでしょうか
おかんじゃけとは、静岡市葵区羽鳥の洞慶院(とうけいいん)というお寺に伝わる縁起物です
おかん=お髪、じゃけ=竹、という意です
髪は「かん」とも言われます。かんざしも「髪ざし」という意味です
おかんじゃけは、他に全く類を見ない、地域限定のものです
竹をじゃけ、というのは静岡の中部南側だけなのだとか・・・
※画像出典:洞慶院HP
洞慶院でも、おかんじゃけが発祥した経緯は正確には分からないそうですが、
開山忌(毎年7月)の縁日で、福引きの景品として作られたのが始まりのようです
筍から竹になったばかりの若竹を使い、上から叩いて竹を細い繊維状にしていき、穂のようにして着色したもので、
「おとうけんさんの縁日でおかんじゃけを買えば、夏病みをしない」と、言われているそうです
家の内外に吊して飾ったりします
洞慶院事務所の玄関のおかんじゃけ
女の子はおかんじゃけで髪を結って遊び・・・と聞いたら、これは完璧な姉様です
当時のおかんじゃけの姉様については、ほとんど資料が見つかりません
探しに探した結果、下のようなを写真を見つけました
静岡文化情報誌 しずおかイベントニュース2017.8月号「まちかど」
久住の「おとうけんさん」と「おかんじゃけ」記事より、昭和50年頃の洞慶院境内の様子の白黒写真
衣装をつけたおかんじゃけの姉様が茶店で売られていたとのこと
茶店の主である故・岸たきさん作の見事な姉様
かんざしは、恐らく細い竹の叩き始めで広がった繊維に着色したもの
↓髪を結う前のおかんじゃけはこんな感じ(大名行列の先頭の毛槍っぽい)
↓写真の姉様を参考に、稚児輪ふう、結い綿ふう、勝山ふう・・・
本物にはとても及びませんが、鹿の子や打ち紐などとの相性はバッチリです
作り方も仕上がりもシンプルですが、素朴な雰囲気がおかんじゃけ姉様の特徴
姉様を作るには、まずおかんじゃけをキレイに作ることが大事
↓過去の失敗作(剛毛)竹が固すぎました・・・結髪もイマイチ
おかんじゃけの追求はまだまだ続きそうです
おかんじゃけの作り方
2020.10.03 蓼科笹類植物園「笹離宮」ワークショップにて
筍から竹になったばかりの、真っ直ぐになって葉の出ていない竹を使います
秋に筍が出る種類のマダケの仲間「ホウライチク」
一節がとても長いタイプの竹(節が短いと長い穂が出来ない)
竹の縁を濡らした紐できつく縛ります(上から叩いても割れないようにするため)
上から金槌でくるくる回しながら叩いて行くと、竹の繊維が花のように広がっていきます
中央の空洞に繊維が詰まるので、それを常に外側に出しながら叩いて行きます
強く叩きすぎると繊維が切れてしまい、弱いとなかなか進んでいかないので、程よい力加減が必要
こんな単純な、誰でも出来る簡単な作業なのに奥が深い・・・
好きな長さまで来たら、外側の青い表皮をカッターでこそげ取ります
ここでしっかり青い部分を取り除くのが、色白のきれいなおかんじゃけにするコツ
仕上げに、釘をたくさん打った手作りの櫛でよく繊維を梳きます
このままだと酸化して黒っぽくなってしまうので10分くらい水に浸けてアク抜きします
水から上げたら、勢いよく振って水気を切り・・・
着色する時は、染料(ねぷたの絵付けに使う染料)に浸けて乾かして出来上がりです
教えて下さったのは静岡市在住、おかんじゃけ名人の松本健作先生
元小学校の校長先生で、書道家でもあります
おかんじゃけの筆で書道のデモンストレーション
おかんじゃけの魅力を伝えるべく、地元ではもちろんあちこちでワーショップを開かれています
地味でマニアックなワークショップと思いきや大盛況
これほどおかんじゃけに興味を持つ人がいるならば、おかんじゃけがメジャーになる日も近い
参加者は大満足でおかんじゃけを持って帰りました
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ギャラリーに展示されたカラフルなおかんじゃけの数々
こんなに太い孟宗竹もおかんじゃけに出来るんですね
おかんじゃけはこんなに進化していた・・・
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蓼科笹類植物園は、120種に及ぶ笹や竹に特化した専門の植物園
温暖化の影響で、笹類を寒冷な蓼科の地に移植し、保護と研究を兼ねて作られました
回遊式数寄屋庭園の名前は「笹離宮」
桂離宮の修復を手がけた建築家故・安井清氏のデザイン
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↓第二弾ワークショップ「郷土玩具・おかんじゃけで正月飾りを作ろう」
2020年12月9日 藁科生涯学習センターにて
おかんじゃけを正月飾りにアレンジします
切ったばかりの青々とした竹は2週間くらいで変色してしまいます
おかんじゃけをお正月飾りにするのには、ギリギリの時期
これ以上時間が経つと竹が固くなって叩けなくなります
再び、松本先生登場
詳しいレクチャーのあと、おかんじゃけ作り
徳川慶喜公ゆかりの浮月楼から切り出した竹や、貴重な作品を見せていただきました
コロナの渦中にもかかわらず、満員御礼のワークショップ
おかんじゃけの技術を広めるため、講師を増やすためのチーム育成コースがあるそうです
こんなにおかんじゃけが盛り上がっているとは素晴らしい!!
地元で「おかんじゃけ市」が開催され、有名な風物詩になる日も夢ではない!
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来年春、竹の時期が来たらまたおかんじゃけの姉様にチャレンジしたいと思います!
2020.12.15
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