41 雛祭り特別編 壱岐島の八朔雛(長崎県)

日本の小さな姉様たちでは「雛祭り特別編」シリーズをお届けします
古代の雛人形はとても質素な紙製でした
形も、人形と言うよりは<かたしろ>のようなものでした
人のけがれを移して川に流し、災厄を祓ったりしたのが始まりです
現在主流の座った雛人形ではなく、立った姿の立ちびなでした
これは姉様の出発点とも言える形です
姉様と雛人形は区別されていますが、そのルーツは関係ないものとは言い切れません
いにしえの「ひな」の形状から、姉様の創始を彷彿させるものをピックアップして辿って行きたいと思います

八朔とは八朔朔日(朔日とは毎月のついたちを指す)の略で、旧暦8月1日を指します
(現在の8月25日頃〜9月23日頃にあたります)
果物のハッサクは、8月1日頃に食べられるので八朔と呼ばれるようになりました
八朔に行事や雛祭りをする地域があります
長崎県壱岐島に伝わる八朔雛「ヒメゴジョサマ」というのを見つけました
壱岐島ってどこ?というところから始めます
長崎県には数多くの島がありますが、壱岐諸島を含めて壱岐島と呼ばれることが多いそうです
それにしても、ひとつの島が一つの市、というのは珍しい・・・
カエギヌの着物と、オシロイバナ、茶袋がセットになっているのが特徴です

↓壱岐島八朔雛「ヒメゴジョサマ」資料1
※画像出典 日本全国郷土玩具バーチャルミュージアム 民芸館 長崎県篇より

壱岐の八朔雛
壱岐の八朔雛の特色は、男女の雛に着せ替え用の装束がついていること。
長女が生まれた家に贈る習慣があり、贈られた家では、
表座敷の長押(なげし)にそれを貼り付け、オシロイバナは神棚に供えたそうです。

※『壱岐島年中行事』(1935年)山口麻太郎著(壱岐島出身の大正・昭和期の民俗学者・郷土史家)より
タノモ ー ヒメゴジョ様と云って男女一対の折雛を作り、
更にオキヌと云って色紙でキヌを二枚切り、女児の初節句に家に贈る。
受けた方ではこれを梁や神棚に貼って内祝ひをなし、出来たものを親戚に配る。
白いかづらの花(何草か知らず)でヒメゴジョ様を作り紙の衣を着せて荒神様の下の貼るといふものもある。
※参考 日本全国郷土玩具バーチャルミュージアム 民芸館 長崎県篇より

↓壱岐島八朔雛「ヒメゴジョサマ」資料2
※画像出典 oriart 壱岐の八朔雛「ヒメゴジョサマ」より

 

↓壱岐島八朔雛「ヒメゴジョサマ」資料3
※画像出典 ヤフオク画像(出品者mugen6318さん)より

↓福岡県糸島市深江地区に伝わる八朔雛(糸島市志摩歴史資料館の展示資料)資料4
※画像出典 RKBラジオブログ「スナップなう!」2015年2月26日雛飾り展より



資料3、4の八朔雛は衣装が立ち雛のような衣仕立てです
このスタイルを真似して少しアレンジしました
お茶の袋には本物のお茶を詰めて、オキヌは二人とも小紋でカジュアルに
お殿様のオキヌは、あまり切れ込みを深く入れるともんぺみたいに見えてしまうので幅広に

ヒメゴジョサマは色や形に厳密な決まりはなく、折り紙などで作って色紙に貼っることもあります
地元では子供向けのワークショップなどでも作られているようです
簡単ですので、皆様もぜひどうぞ

※参考 日本全国郷土玩具バーチャルミュージアム 民芸館 長崎県篇
oriart 壱岐の八朔雛「ヒメゴジョサマ」

2021.03.15

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