47 七夕特集 オルスイさんその(1)(山梨県)

日本には各地でいろいろな七夕行事があります
七夕人形や紙衣(かみこ)などはとても姉様的要素があると感じます
雛祭りと同様、七夕も姉様と切りはなして考えることが出来ません
そこで七夕特集を組むことにしました

七夕特集の第一回は、山梨の七夕を二篇お届けします
山梨には独特の七夕文化があり、七夕の飾り「オルスイ(お留守居)さん」と呼ばれるものがあります
山梨市、甲州市、甲府市などを中心として分布しています
七夕が終わっても「オルスイさん」をお守りとしてずっと飾っておくのです
オルスイさんは、各家庭で手作りで作られ伝承されてきました

山梨のオルスイさんについては、信清由実子氏がブログで詳しく解説されています
「七夕文化」https://blog.goo.ne.jp/shizechemg

最近は伝統的なものが見直され手作りする人も増えており、画像も多く出回るようになりました
そのため、オルスイさんのデザインにいろいろなバリエーションがあることを知りました
私は、その家々でオルスイさんの少しずつ違う形状やデザインにとても興味を持ち
文献や画像を調べながら、その傾向をタイプ別に大類し、複製を試みました

(48オルスイさんの記事下方に、作り方と参考型紙を掲載しています)

1.オルスイさんスタンダードタイプ

山梨市市川(イチガワ)杉田家のオルスイさん
最も知られるオルスイさんの形状で、天然生活(2012年7月号)で紹介され一躍有名になりました
シンプルな紙衣状の飾りでバランス良くとても素敵なものです

七夕のワークショップなどでもよく作られます

2.オルスイさん袖なしタイプ

↓袖のないタイプで、薄紙を幾重にも重ねたオルスイさん
甲州市勝沼深沢 三枝家のオルスイさん ※画像出典 信清由実子氏「七夕文化」HPより

ぶどう農家の三枝家では、以前はぶどうの箱に敷く薄い紙を使っていた。
薄い紙を3〜4枚重ねて、切り下げ部分の(足)のボリュームを出す。

↓私は、ちょうどブドウ色の板締めの和紙があったので使用してみました
切り下げる足の幅などに決まりはなく適当でよいらしいです

3.オルスイさん御幣タイプ

↓袖がなく、頭の三角の切れ込みのないタイプで、足を御幣状に折りたたんだオルスイさん
(甲州市勝沼菱山 佐藤家のオルスイさん)※画像出典 「ラブ甲州」HPより

おこじんさん(荒神様)の御幣を作る職人さん
が作ったオルスイさんは、やはり御幣そっくりの作り。かんじんより(こより)も手作り。

 ↓見よう見まねでおこじんさん風に・・・切り下げ部分を折り込むだけで雰囲気が変わります
足は、下に行くに従って形を大きくして末広がりのバランスにしました

参考資料
『七夕の紙衣と人形』石沢誠司著
『七夕と人形』松本市立博物館著
ブログ『七夕文化』信清由実子
ブログ『ラブ甲州』
ブログ『豊富郷土資料館』
ブログ『堀川波のブログ』
Facebook『南アルプス市ふるさと文化伝承館』
日本玩具博物館
根津記念館


山梨のオルスイさん・その(2)へ続きます

2021.06.15

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