53 七夕特集 松本の七夕(長野県)

日本には各地でいろいろな七夕行事があります
七夕人形や紙衣(かみこ)などはとても姉様的要素があると感じます
雛祭りと同様、七夕も姉様と切りはなして考えることが出来ません
そこで七夕特集を組むことにしました

今日は8月7日、月遅れの七夕行事をする地域も多いです
日本海の糸魚川から塩の道を通って信州松本へやってきました
七夕特集のトリを飾るのは、長野県松本市の七夕です!

松本の七夕
長野県松本市では、江戸時代〜明治期の古い七夕人形が多く残され保存されています
月遅れの八月の行われる七夕では市内のあちこちで七夕人形の飾りつけが見られます
今でも独自の七夕祭りが盛り上がっている松本、七夕人形の聖地

載せきれない情報がたくさんあり、補足必須!

↓平たい折り紙状の紙びなタイプ
紙製のものはサイズもデザインもたくさん種類があり、七夕が近くなるといろいろな店で市販されます
七夕キットやワークショップでもよく作られており、顔も現代ふうに可愛らしくなりました
袴なんかが結構リアルですね
最もスタンダードなタイプ、松本の七夕人形といえばこれ


※画像出典 松本市公式観光情報 新まつもと物語

↓同じ紙びなタイプでも少し古い型のようです
地味系ですがとても味があります(昔のお雛様みたいです)
お内裏様(彦星さん?)はヒゲを生やしていてちょっとオジサンっぽい?(中年のお雛様ふう?)

※画像出典 東京民芸協会だより
※画像出典 中日新聞

↓ハンガーに顔が付いていて、本物の着物を掛けるタイプの人形
板に着色で描かれていますが、正直あまり可愛いとは言えません・・・不気味です
これに着物を掛けて軒なんかに下がっていたら、かなりの迫力で結構怖いです
肝試しですか?というシロモノ・・・夜なんかビビリものです
地元では、子どもの頃は怖くて泣き叫んだと言う人も多いとか
彦星は、顔はお内裏様のような久家ふう、白塗りに紅でオカマっぽい・・・ひげを生やしたおっさんぽいのもあります
織姫は、神話の神様ふうで頭の飾りもいろいろあります。二重あごのおばさんぽいのもあります
いろんな人が手作りしたのか、顔の表情はさまざまです

※画像出典 中日新聞
※画像出典 松本市公式観光情報 新まつもと物語
※画像出典 松本市はかり資料館

↓私は、ベラミ人形店に保存されている古い人形を参考に、ミニチュアサイズで作ってみました
厚紙に着色、顔はデータで描きプリントを貼ったものです

 

↓紙衣タイプ
屋根が付いている木製の七夕人形
顔の描いてあるものと、何も描かれていないものがあります
原始的で素朴で可愛らしいです
毎年、紙衣を一枚ずつ重ねていくのだそうです

   

↓衣を重ねていくタイプで紙びなのような顔が付いているものもあります
(顔は誰かの手描きでしょうか・・・?)


※画像出展(上記4点)mt77のブログ

↓流しびなタイプ
飾った後、流しびなのように川に流した七夕人形
紙衣ふうの着物に、かしら付き、何故か髪型は町人髷のようです
髪を後ろに長く垂らした垂髪のような女雛も見受けられます
(七夕近くの時期、ベラミ人形店の店先の様子)


※画像出展 ブログ・学会事務局からのお知らせ(信州大学医学部循環病態学教室)

↓古い流しびな(川に流してしまうのであまり残っていないと思われます。下記は保存されている貴重なもの)


※画像出典(上記2点) mt77のブログ

↓馬乗りタイプ
雨が降ることを想定し、笠をかぶり白馬(何故白馬?)にまたがって織姫&彦星を迎えに行く「迎え馬」。
神様が田畑を見回る姿だともいわれます
新暦七夕の時期はまだ梅雨の最中なので、このような神様も生まれたのでしょうか

※画像出典 日本玩具博物館
※画像出典 mt77のブログ
※画像出典 

↓カータリ
木製の足の長〜い木の人形
カータリ(川渡り)、カワコシ(川越)アシナガ(足長)などと呼ばれます
天の川が雨で増水した際、織姫&彦星を背負って渡るのだそうです
二人が川に濡れないように足が長い、ということらしいですが、考え方も造形もシュール過ぎます
実際にこれが軒先に下がっていたら、確実に怖いです
でも、よく見ると顔は怖くありません・・・


※画像出典 松本市公式観光情報 新まつもと物語

カータリ大集合!!

※画像出典 おっとぼけ美術館
※画像出典 おっとぼけ美術館
※画像出展 和紙の専門店 紙舘島勇
※画像出典 ラジモ

  
※画像出典(上記3点) mt77のブログ

近頃はいろいろなカータリがいて、キャラクター化されたりして密かなブームなのだとか
顔は角材、勇ましい奴のような格好をして、必ず着物の裾を尻端折りしています
頭は、総髪もしくは月代を剃ったちょんまげ、この人形は一度見たら忘れることが出来ませんね

私のカータリは、身長約29cm(紙製)

  

顔はやさぐれ系(誰かに似てる?)


松本の七夕人形はバリエーション豊かで、ユニークかつシュールなものばかりです
松本市の重要有形文化財としてよく保存され、研究も進んでいます
七夕文化の先進地です

七夕特集いかがでしたでしょうか?
全国にはまだまだ特色ある七夕がありますが、今回の特集はひとまずここまで
見つけたらまた記事にしたいと思います

次回は全国の姉様めぐりに戻ります

参考資料
『七夕の紙衣と人形』 石沢誠司著
『七夕と人形』松本市立博物館編
信清由実子氏「七夕文化」https://blog.goo.ne.jp/shizechemg
日本玩具博物館 尾崎織女氏 https://japan-toy-museum.org

糸魚川世界ジオパークブログ https://geo-itoigawa.com
根知の情報発信ブログ http://e-nechi.blogspot.com
ベラミ人形店 belle amie doll shop (フェイスブック有) 

2021.08.07

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