82 きびがら特集 布子谷きみがら人形(鳥取県)


 

日本の小さな姉様たちは、きびがら姉様の特集をお届けします
全国にきびがら(トウモロコシの皮)で作った姉様はたくさんあったと思います
夏にたくさん収穫されるトウモロコシ、その皮を利用したものは海外にもあります
コーンハスクドールや、皮に具を包んで蒸すメキシコ料理、
馬産地の青森県十和田市では、飼育用のトウモロコシの皮を裂いて紐状にしスリッパを編みました
トウモロコシの皮は丈夫で長年経ってもほとんど変質しません
素朴なきびがら姉様は格別の魅力があります

鳥取県は姉様の宝庫!姉様の聖地!
きびがら姉様だけでもいろいろ種類があります

布子谷きみがら人形をご紹介します
鳥取県倉吉市の北谷川周辺の地域は布子谷と呼ばれています
気候が温暖で布子を着ているように快適とのことからそう呼ばれているとか
70年くらい前から、このあたりで作られている姉様です


今回入手したきみがら人形は丸髷(化粧箱入り)
(3種類の髪型 丸髷・島田・桃割れがあります)
とても素敵なきみがら人形が届きました。帯揚げは紫!(私の大好きな色)
現物はとても素晴らしいです。細部まで緻密な仕上がり!

  

  

作者は舩木一子さん
きみがら人形の伝承のため地元で教室を開くなど活動されています
作り方のテキストとともに、調査用に古くなったきみがら人形(桃割れ・丸髷)を同梱して下さいました
古くなっても、色が経年経過でいい感じを出しています

 

作り方は結構難しいです
小学生ではかなり難易度が高いと思われます
立体的なボディは中に芯を入れたり綿で厚みを出したりしなければなりません
切ったわらを束にして、障子紙を固く巻き付けて芯にします

わらがないので、私は竹箸と厚紙で代用
上身頃のトウモロコシの皮は幅が広くないと作れません
半襟は木目込み人形材料などの帯地ふうの布でしたが、私は揉み加工の千代紙で代用

↓写真左の二体が私が作ったもの
一番左:トウモロコシの皮の幅が足りずに少し小さい
左から2番目:さらに幅が狭くて小さい

シュッと締まった裾と上半身のボリュームのバランスが難しかったです
裾回りは思いのほかとても細いです
太くなってしまってやり直しました
菱形ボディは内側をきっちり硬くしておかないと、トウモロコシの皮の厚みでぼわわーんと膨らみ、
締まりのない感じになってしまいます
また、裾回しの千代紙も、直径が細いぶん細かい柄でないと引き立ちません
帯揚げも、普通の絞り鹿の子では厚みが出すぎて上手く結べません
昔の薄地の子供の浴衣用兵児帯とか、昔の七五三用ちんころとか、昔の腰紐とかがちょうど良いです

襟を抜くのが至難の業です
襟つけ込みの繰り越しがあるわけではないので難しいです
背中がぼわわーんと膨らんで、一歩間違えると「ねんねこ半纏」状態に・・・
背中をぐっと引っ込ませるのが難しい

何気に難しいのは帯揚げのバランス
肩のきわ、トウモロコシの皮の折れ目を隠すように被せますが、
一歩間違えると派手なブラジャーしてるみたいに見えてしまうので、あまり広げ過ぎないようにします

   

 

何とかそれらしく出来ました!

倉吉福祉センター(2019年3月)きみがら人形教室の展示風景


※画像出典 倉吉市社会福祉協議会 

見よう見まねではなく、本場の技を一度受講してみたい
(地域の方限定だそうです)

きびがら姉様続きます!


※参考資料

倉吉市社会福祉協議会(倉吉市ボランティアセンター)
北谷コミュニティセンター
布子谷きみがら人形について http://www.ncn-k.net/kokitada/sub3.html

#姉様人形 #あねさま #あねさま人形 #布子谷きみがら人形 #きみがら人形 #郷土玩具

2022.10.01


81きびがら特集・因幡のきびがら姉様(鳥取県) ← 82きびがら特集・布子谷きみがら人形(鳥取県)→ 82松江のきびがら姉さん(島根県)