1.はじめに

姉様人形のページにようこそ

私は、小学生の頃から千代紙が大好きな子供でした。
近所の文房具屋さんで売られていた千代紙セットを買い、大事にしていました。
和紙に刷られた和風の柄が大好きだったのです。
「麻の葉」「鹿の子」「矢絣」「亀甲」・・・柄に名前が付いているのも好きでした。
そして当時、母が持っていた主婦向けの手芸雑誌に出ていた姉様人形を見つけ、見よう見まねで作ったものです。
その頃は何となく鮮やかな色や古風な形に惹かれていただけですが、大人になった今は、姉様人形の粋な世界にはまっています。

この度、姉様人形の魅力を、作品面や歴史面などから総合的にまとめたいと思い、
自分で探したもの、調べたもの、覚えたものなどを中心に姉様人形のページを作ってみました。
ルーツなどについては、過去の文献に頼るところが大きいです。また自分なりの解釈も加味されております。
小さな手仕事の世界の記録として、あねさまファンを増やすために、今後少しずつ内容を充実させて行きたいと思っています。


(今でも取ってある当時の雑誌の切り抜き)

私は江戸時代が好きです。
何故かというと、日本が一番日本らしい美意識と文化の成熟期が江戸時代だったと思うからです。
長い間の鎖国の産物かも知れませんが、後にも先にも和文化が完成した黄金期だったのではないでしょうか。
生活様式、服飾文化、建物、食・・・ありとあらゆるものが日本独自に確立していました。
しかし、今、私達の周りには、江戸のものは殆ど残っていません。
江戸の街並みもないし、日本髪を結っている人もいません。
江戸時代の記録を鮮明にとどめるものは、わずかな文献や絵や建造物・・・
そうした中で、江戸の流れをくむ姉様人形は、何百種類もある日本髪の様式をリアルに紙で表現し、
様々な階級の江戸風俗がそのまま表現されています。
ありし日の日本人の女性の姿をそのまま写した、貴重な資料とも言えます。
だから、姉様人形が気になって仕方がないのです。


(京都・さくら井屋 絶版の千代紙)

それともうひとつ・・・私は紙が好きです。
日本は世界に誇る紙文化を持つ国です。和紙は日本の美意識と密接につながっていると思います。
日本人は紙を使っていろいろなものを作り、生活に役立てましたが、
紙で出来ているものの中で、姉様人形ほど精巧で粋なものはありません。
美しい刷りの千代紙はもとより、巧みに組み合わされた色合わせは、現代の感覚を超えるものです。
そして極限まで簡素化された美が凝縮されているのが姉様人形の世界。
人の形をしているものは、ひときわ奥が深く重いものがあります。
江戸の女性達に大流行した人形作りは、美しい姿への憧れとともに、どんどん洗練された姿になったのでしょう。
だから、姉様人形を見過ごせないのです。

高森春恵/グラフィックデザイナー・造形作家
プロフィール

姉様Top 1.はじめに 2.<姉様人形>の定義 3<あねさま>の歴史 4日本各地の<あねさま>


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