Vol.96 冬ぼたる

随分前ですが、途絶えていた西木の紙風船祭りを復活させた人々のドキュメンタリー番組を見ました
雪国にこんな祭りがあるなんて知りませんでした
一度見てみたいと思っていた祭りです
秋田内陸縦貫鉄道というものものしい名前の駅近くの、広大な田んぼが会場です
一面真っ白な銀世界に突如人だかり
まさに今上がらんとする、何基もの紙風船を目にした時の感動は忘れられません

以前はどんど焼きと一緒にささやかに行われていたようですが、
現在では秋田県を代表する冬の祭りとなりました。
真冬の、たった一日行われる雪深い国の素朴で温かい祭りです。
昔は何も描いていない半紙をつなぎ合わせた白い風船 を上げていましたが、
絵を描くようになり、だんだん大きくなっていったそうです

紙で筒状の風船を創り、バーナーで中を温めます。
暖まった空気が充満し空に上がらんとする瞬間に、石油を染み込ませた「たんぽ」に火を入れます
すると暗闇に武者絵が浮かび上がります

空に放たれた紙風船は、天地無用でぐるぐると激しく回転しながら、空高く舞い上がります
どんどん上にのぼって星のように小さくなって見えなくなってしまいます・・・

  

  

会場にはかまくらや、小正月の行事の一環だと偲ばれる、餅花の飾り。

空に上がった紙風船は、燃え尽きるとどこに落ちてくるのでしょう・・・?
恐らくこの日を境に春が来るのでしょう。

2014.2.10

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「ボテキンパラダイスかわら版」
Vol.96 2015.2.15発行
制作/高森春恵
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