001 大垂髪(おすべらかし)<垂髪系>

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始まりました!姉様新シリーズ「江戸姉様結髪100選」

第一回目は3月1日掲載♪ 上巳の節句(桃の節句)の季節にちなんで、大垂髪(おすべらかし)から開始です

徳川時代に流行した女性の髪型は後世の結髪の基礎を築きました
それ以前の女性の髪は、垂髪(すいはつ)で、結わずに後ろに長く垂らしていました

髪が結われるようになる直前の、最初の出発点です

↓江戸中期頃のおすべらかし

途中から、長かもじという長い付け毛を付けています
後ろの髪が身長より長い・・・踏みそう
「髪は女の命」という時代です

女官装束着用次第図』より


※画像出典 国会図書館 図書データベース 

↓江戸後期・正装の公家女性の正装

現代では皇族女性の正装や、お雛様としてもお馴染みのスタイル
大垂髪(おおすべらかし)は「お大」、髱裏(つとうら)を入れて鬢を左右に大きく張り出し、
丸かもじ、長かもじ、髪上げの具(平額・額櫛・釵子)を付けます
長かもじには絵元結、水引、小引裂などをかけました
年齢や行事などによっていろいろな種類がありました

  
※画像出典 日本服飾史より

↓髪上具の例

髪上具(かみじょうぐ):理髪に用いられる装飾品で、
十二単のほか、采女装束(うめねしょうぞく)に用いた。(采女=天皇・皇后の給仕などを務める女官
近世では、大垂髪おおすべらかしの折に用いる。

髪上具(かみじょうぐ)


※参考 京都宮廷文化研究所

大垂髪(おすべらかし)のかつら

 

 


※画像出典 ポーラ文化研究所

↓いろいろなおすべらかし

●「わらわ」ハート型のようなオールバック型。ういういしいですね!

●「お中」お大より小さい略式の形で、若い人ほど大前髪を大きく取りました。元は武家にあった髪風で明治以降は正装時の髪としても用いられました

●「直衣姿(のうしのすがた)」普段着のお雛様です。髪飾りも鬢の張り出しかたも緩やかでリラックスした雰囲気です

●「狩衣姿(かりぎぬすがた)」狩衣とは狩りをする時や外出する時の姿。着物は短い丈で、髪を顔の両側に垂らして顔をむきだしにせず隠すようにしていました

●「采女装束(うめねしょうぞく)天皇・皇后の給仕に仕える女官の装束。飛鳥文化の名残が見えるようでカッコイイですね


わらわ

※画像出典 江戸の日本髪
久邇宮良子女王殿下
(香淳皇后)15歳のお写真

おすべらかし(お中)

※画像出典 江戸の日本髪
お中「帯の変遷史」昭和38年発行より

直衣姿(のうしのすがた)

※画像出典 文化遺産オンライン


狩衣姿(かりぎぬすがた)お雛様

※画像出典 文化遺産オンライン


采女装束(うめねしょうぞく)


※画像出典 風俗博物館



江戸姉様は、くるくると棒に巻き付けて絞った丸い鬢が特徴ですが、
おすべらかしの形状が独特なため、通常の江戸姉様の鬢の作り方と変えてあります
顔の両サイドから、斜め上に角度を付けて貼り付けました
頭の上のお団子は、玉かもじ(丸かもじ)といい、私は丸めた絞り紙を貼り付けてました
この玉かもじに平額(ひらびたい=円形で角が三本出ている飾り)を金具で差し込み、
釵子(さいし=U字型の金具)で押さえ、紫の紐で結ぶという構造になっています
前髪には半円形の櫛を挿します

袖のない江戸姉様に、唐衣を着せるのは難しかったですが、
それらしく見えるよう、アレンジしました

  

このおすべらかしの形状、昔はくじらの髭などを使って両鬢の土台を作っていたのだそうです
頭にいろいろ装着して過ごすのはさぞ不自由で重かったことでしょう
今から考えると、とてもシュールな造形です
大きく立派に見せる、というのは格式や権威を象徴していたのでしょう

海外でも、マリーアントワネットの頭に船を乗せた超絶盛髪などがありますが、
張り出し系のヘアスタイルへの憧れは、万国共通だったのかも知れません

 

参考資料

京都宮廷文化研究所 https://kyoto-kyuteibunka.or.jp/
有職文化研究所 https://yuusoku.jp/bunka/
日本服飾史 https://costume.iz2.or.jp/
風俗博物館 https://www.iz2.or.jp/
江戸の日本髪 https://www.edononihongami.com/

ポーラ文化研究所 https://www.cosmetic-culture.po-holdings.co.jp/
日本髪の歴史 https://www7a.biglobe.ne.jp/~ee-kimono/kami.html
国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/ja/

文化遺産オンライン https://bunka.nii.ac.jp/

参考文献

日本髪型 伝統の美 櫛まつり作品集 京都美容文化クラブ(平成13年(2001年)6月・2刷)
江戸結髪史 金沢康隆著 青蛙房刊(昭和46年(1971年)4月2刷)

日本結髪278種 廣瀬辰五郎著 主婦と生活社
結髪全集 人形美術協会

 

2024.03.01

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