005 おまた返し(おまたがえし)<笄髷系>

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姉様新シリーズ「江戸姉様結髪100選」

第五話は「おまた返し」

おまた返しは御台所となる女性が婚礼を挙げるまでの髪型です
また、懐妊するまでの間結っていたとも言われています
着帯の儀式(妊娠5ヶ月)まで結っていたという習慣もあったそうです

それにしても、「おまた返し」という呼び方は何なんでしょう
いわれは調べても分かりませんでした
結い方の形状とは関係がないようだし、「おまた」を返上する?ひっくり返す?
上様に女性としての身をお返しする的な?

↓以下は「おまたがへし」の図

※画像出典『江戸の日本髪』より


↓こちらは「おまた返し」のかつら

※画像出典「美・日本髪 Nihongami from Japan 林照乃 作品集」より

  

「おまた返し」のイラスト

※画像出典 さがユウの平々凡々ブログ 御台所の髪型一覧(大奥豆知識)より


実際、これらの図だけではよく分かりません
勝山のように輪を作り、髷の内側で八の字に笄に結びつけているようです
最後の余った毛先は、カツラでは輪の中に入れています
昔の図では、右斜め後ろにながしています

いつも参考にしている『日本結髪278種』廣瀬辰五郎著に、
おまた返しは載っていなかったので
苦労しました
ぐるぐる巻き付けるために、いつのも半紙の天地では長さが足りません
延長して貼り付け、長〜い髷を作ります
鬢は、後ろを平らにつぶして割った「葵髱(あおいづと)」です

  

 

やはり、大奥最高位の御台所の髪型だけあって、格調高く凜とした雰囲気です
独身のお姫様だった頃の吹き輪に比べると、大人っぽい落ち着きがありますね

 

笄を引き抜くと垂髪、結い方は勝山系ですが、分類は笄系としました

次回も頑張ります

参考資料

日本服飾史 https://costume.iz2.or.jp/
風俗博物館 https://www.iz2.or.jp/
江戸の日本髪 https://www.edononihongami.com/

ポーラ文化研究所 https://www.cosmetic-culture.po-holdings.co.jp/
日本髪の歴史 https://www7a.biglobe.ne.jp/~ee-kimono/kami.html
国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/ja/

文化遺産オンライン https://bunka.nii.ac.jp/
文化デジタルライブラリー https://www2.ntj.jac.go.jp/dglib/
美・日本髪 Nihongami from Japan 林照乃 作品集 https://nihongami.blogspot.com/
さがユウの平々凡々ブログ 御台所の髪型一覧(大奥豆知識)より https://ameblo.jp/sagarasousi/entry-12703260647.html

参考文献

日本髪型 伝統の美 櫛まつり作品集 京都美容文化クラブ(平成13年(2001年)6月・2刷)
江戸結髪史 金沢康隆著 青蛙房刊(昭和46年(1971年)4月2刷)

日本結髪278種 廣瀬辰五郎著 主婦と生活社
結髪全集 人形美術協会

 

2024.05.01

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