112 松前の姉様(北海道)

 

「日本の小さな姉様たち」
北から順番に姉様を探しながら南下し、オリジナル復刻を続けてきました

ついに北海道の姉様を見つけました

「松前の姉様」

稲垣武雄著・郷土玩具研究シリーズ『姉様』に、
松前の姉様として『清水晴風 うなゐの友初編に、松前の紙製かんざし人形として首人形の様な図がある。
横鬢が大きく、他に類を見ない。果してあったものかどうか今は知るものもない』

とわずかな文章が載っています。

松前という地名は北海道以外にも数カ所存在しますが、
北から順番に姉様の解説がされていますので、
弘前の首人形の前に載っているので、弘前より北の話だと思います

また、稲垣武雄氏の蔵書票の中に松前の姉様とされた絵があります

木版画蔵書票『蔵書票 あねさま』限定40部 草風舎(稲垣武雄)

 

↓目次を見ると、右ページは仙台の姉様なので、その左は松前の姉様とあります

絵の並び順のとおり、仙台の左となりが松前です



※画像提供 PP BOOKSTORE

 

もう一つの手がかりは、カラーブックス エキグチクニオ氏『あねさま人形』

『かんざし姉さん』

松前の姉様に酷似しています
従って、どこの姉様を参考したかなどの記載はありませんが、エキグチクニオ氏が
『松前の紙製かんざし人形』と、『かんざし姉さん』をかけてもじったものと思われます

 

 

蔵書票の松前の姉様は、赤い飾りが布リボンのようにも見えますが、
『紙製かんざし人形』という記載文章を鑑みて、全て紙で表現しました


「日本の小さな姉様たち」
北は秋田〜南は沖縄まで、いろいろな資料を参考にオリジナル復刻し、日本を一通り巡回しました
ついに北は北海道となりました!



姉様を調べて復刻するという作業は楽しかったです
印象に残っている姉様、苦労した姉様、気に入っている姉様・・・様々ですが、
私が姉様を作る時は、「もし、この姉様が作られた時代に生きていて、この姉様を作る人の側にいたら絶対教えを乞い一緒に作っていただろう」
いつもそんな気持ちで作っていました

姉様は特殊な機械や特別な道具を用いて作られていたわけではありません
誰かが手で作っていたのですから、手で作れないわけがないのです
その時代、気候風土などの土地柄がにじみ出ている郷土の姉様は素晴らしいものです
昔から、女性の夢のあらん限りを尽くし、夢を託されてきた姉様人形
今は今は忘れ去られて、見かけることもなくなりました
それでも、紙を使った日本ならではの姉様のデザイン・造形は現在でも色褪せません
自分なりに姉様の世界と、好きな物作りを融合させることが出来、長年の思いを形に出来て良かったと思います

これからも、新たな姉様を発見したら追加で「日本の小さな姉様たち」に加えていきたいと思います
長い間ご覧下さり、ありがとうございました
お力添え下さいました方々には厚く御礼申し上げます。



※参考資料


日本郷土人形研究会
『姉様』
ハンドクラフトシリーズNo.47『姉さま人形』
古書象々
PP BOOKSTORE

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2024.09.23


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