51 七夕特集 黒部のアネサマ(富山県)

日本には各地でいろいろな七夕行事があります
七夕人形や紙衣(かみこ)などはとても姉様的要素があると感じます
雛祭りと同様、七夕も姉様と切りはなして考えることが出来ません
そこで七夕特集を組むことにしました

黒部のアネサマ

富山県黒部市尾山地区では、100年以上の昔から独特の七夕行事が行われています
毎年8月7日、台の上に紙で作ったアネサマや船、行燈などを湧き水を集めて流れる集落の泉川に流すというもの。
アネサマは専ら女の子が作り、高さ約40cm、十文字の竹を芯にしておこし(お腰)をつけ、台の四隅にキリコ(投網)を飾り、
アネサマの両手からもキリコを下げ、上には生花(キンセンカなど)を飾る。
着物の丈がとても短いのは、川を渡るために着物の裾をたくし上げた
姿だと思います(私見)
織り姫と彦星は出てこない、不思議な七夕です・・・

  

↓アネサマの他に、男の子は船(写真左)、中学生は行灯(写真右)を作ります

 

↓杉の葉のかたまりのような杉葉船(スンバブネ)という船も飾られる
モサモサでおもしろい!紐が付いているのはこれも川に浮かべて引っ張るのでしょう

↓大アネサマの巡航
特別に大きく作られたアネサマ(高さ約90cm)の巡航
尾山の七夕流しが昭和56年に黒部の無形文化財に指定されたのを機に保存会が立ち上げられて以来、
尾山の七夕PRのために昭和63年から始められたそうです
集落内を練り歩いた後、泉川に浮かべて流します

 

↓昔の七夕の写真(すごく賑わっています)

戦前の尾山の七夕流しは、周辺の村々からの見物人であふれかえり、
アネサマが盗まれるほど盛り上がっていたといいます

※以上画像出典 黒部の里山 リフレッシュガーデン布施谷

↓アネサマ流し
水路はとても浅いようです
(湧き水とは羨ましいです)
船や行灯を川に流すのは、盆行事に近い意味合いの七夕ですね


※画像出典 とやま学遊ネット

アネサマ仕様
前がはだけにくいよう上前だけおくみをつけ、長い着物を折り込んで裾端折りをしているように見せました
頭はツヤ紙でなく黒和紙を縮らせたもの、着物は千代紙で。
アネサマ本体は(竹の棒含まず)約23cm、実物より小ぶりにしました

 

キンセンカは生花でなく紙で作りました

 

この姿で川を進む光景はシュールな七夕だと思います
なぜこんな格好になったのでしょうか
モーゼが川を切り開く?リオデジャネイロのキリスト?
三尺高いところの刑人・・・?

参考資料
『七夕の紙衣と人形』 石沢誠司著
『七夕と人形』松本市立博物館編
信清由実子氏「七夕文化」https://blog.goo.ne.jp/shizechemg
日本玩具博物館 尾崎織女氏 https://japan-toy-museum.org

糸魚川世界ジオパークブログ https://geo-itoigawa.com
とやま学遊ネット https://www4.tkc.pref.toyama.jp
黒部の里山 リフレッシュガーデン布施谷 http://fusentan.net

2021.07.20

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