67 鳥取おやま(鳥取県)

全国の姉様巡りは引き続き鳥取県
鳥取おやまと呼ばれる独特な雰囲気の姉様です
紙おやま、繻子おやまとも違う姉様
少ない資料からの制作でした

↓参考資料1 郷土玩具研究シリーズ『姉様』稲垣武雄著(郷土玩具研究会刊)
モノクロで不鮮明な写真ですが貴重な資料です


※画像出典 郷土玩具研究シリーズ『姉様』稲垣武雄著(郷土玩具研究会刊)

↓参考資料2 稲垣武雄『あねさま』より鳥取紙おやまの版画図


※画像出典 稲垣武雄『あねさま』

『自分の好きな姉様である。土地ではおやまと呼ぶとか。
黒紙を縮らせて作り、前髪、鬢、髷、髱共大きく叮寧であり、
額は鼻には芯を入れ知ら布で包み、面描きも味がある。芯棒は杉箸の廢物であらう。全長六寸五分。
尚鳥取には佐草派を異にする繻子、紙、黍がら等のがあるが、成果到底之には及ばぬ。
余談ではあるが、昭和十一年二月二十六日、あの雪の日の夜、心落ち付かぬ爲スケッチしたものの一枚で
今茲に挿入するにあたって、聊感なきを得ない 』

解説 口絵 稲垣武雄

スケッチした日付入り、雪の日の夜だとわざわざで回想して書いています
よほど気に入ったのでしょう

資料に共通しているのは、着物の打ち合わせが左右非対称なこと、
太めのかんざし(三角の飾り付き)が3本、丸く小さめの前櫛、
髷が非常に大きいこと、表情の雰囲気が独特なことなど
ハンドクラフトシリーズ『姉さま人形』で鳥取の姉さまとしてエキグチクニオ氏も紹介しています
やはり、バランスが取れていないようでいて取れている不思議な姉様で、
手がらの飾り方もどことなくくずれた感じがあると言われています
身分不詳の謎の姉様・・・でもやはり遊女だと思われます
客とのひとときの後、深夜に着ているものを軽く羽織って身支度し、手水に向かうところみたい
寝ている客をちらと見下ろし、くるりと向きを変え気持ちをリセットする瞬間
いろいろな思いが混ざった、憂いのこもった表情です
しかし、その内面には気品と誇りが秘められています
そんな物語が想像出来そうな姉様になりました

表情は難しい!現物は見たことありませんが本物はさぞ素敵なことでしょう

  

参考資料

日本郷土人形研究会『姉様』
稲垣武雄『あねさま』
郷土玩具研究シリーズ『姉様』稲垣武雄著
ハンドクラフトシリーズ『姉さま人形』鳥取の姉さま2 エキグチクニオ

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2022.03.01

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