96 高岡の姉様(高知県)




四国の姉様も最終回になりました
高知県・高岡の姉様をご紹介します
高岡って高知のどこ?・・・てなりますよね
そもそも四国の4県がどう並んでいるのか?おさらいしてみましょう
↓ピンク部分が高岡郡です


※画像出典 Wikipedia

横に細長い高知県、真ん中よりやや西側のエリアです
四万十町、中土佐町、檜原町、日高村・・・すごく広そうですね

↓高岡の姉様として掲載されている画像はこちらです


※画像出典 日本郷土土人形研究会

約4cmの小さな姉様で、画像は拡大されています
よく見ると、着物は布製でしかも着色されているようです
このサイズの姉様に着せるとなると、普通の着物の端切れでは柄が大きすぎます
手近な白生地で衣裳を着せてから最後に筆などで色を付けたのかもしれません
裾や袖にも模様を描いて、柄物風に見せています
点のように小さな目鼻で、顔も描かれています
襦袢を着ているのか?別地の裾裏が見えます
糸の帯締めも閉めています

情報の少ない姉様で、説明文にも『戦前の書物に紹介されている姉様』とだけあり、
詳しいことは分かりません

この感じは、お土産品や郷土玩具として作られていたものではなさそうです
手仕事好きの器用な人が(しかもたぶん一人)この姉様を作り続けており、
たまたまこれを目にした蒐集家がコレクションに加え、書物に掲載したと思われます
この姉様を作っていた人は、何故こんなに小さな豆姉様にしたのか、
恐らく何かにヒントを得て作り始めたのだと思います
江戸には古くからミニチュアの小物や玩具がたくさんありましたから、
江戸の針姉様などを参考に、豆姉様を作ることを思いついたのかも知れません

姉様研究家の間では、郷土玩具として出回っていた姉様をいわゆる「姉様」としており、
個人の趣味で作られていた姉様とは区別している場合が多いです
しかし、その判別がつかないものも多く、実際には混在していると思われます
家庭内で作り伝えられてきて表に出なかったものや、
出来映えの良い個人作品を切り捨ててしまうのは忍びないとして、
例外的にコレクションに加えている例は多くあります

この姉様も、そんな姉様の一つなのだろうと思います
あまりに情報がなく記事にしづらいと思い、この姉様はスルーしていたのですが
この世に存在していたことは間違いない姉様です
画像一つから、挿絵一つから想像を膨らませ、頭を働かせて自分なりに作ることは出来ます
どこかで誰かが作っていた姉様・・・もし私がその時代、その人の近くにいたら、
絶対作り方を教えてもらい、一緒に作っていたでしょう

竹串に巻き付けて紙を皺めるの図(マットのマス目は1cm角)

  

あまりに小さいので、拡大して大きめに載せてみます

  

  

衣裳は千代紙で、私は顔は描きませんでした
点を打とうとして、顔に墨がドバーッとにじんだら取り返しがつかないので(^_^;)
糸の帯締めは合わないのでやめました
芯が竹串では太すぎるため、針金に色紙を巻き付けたものにしました

小さいものを精巧に作るのは大変ですね(あまり得意ではない)


次回の全国の姉様巡りは、いよいよ九州です
九州には(にも!)個性的で素晴らしい姉様がたくさんあります
お楽しみに!



※参考資料

日本郷土人形研究会


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2023.05.01


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